豪州「不遜」

豪州に棲み35年を超えて慣れっこのはずが今でも怒り心頭に発することが起こります。
ほぼ諦めの境地に近いのですが、それでも呆れることに事欠きません。

最近、日頃乗る機会のないトラムでのこと。マイキカードだけはいざの時のために入手してあり
トラムに乗車し早速カードを検札機にかざしました。何の反応もしないのが「妙だな」とは感じたものの
日頃乗りつけていないわきの甘さだったのでしょうか、そのまま席に座りました。

間もない停車地で6人の制服姿の人たちが乗り込んできたのです。乗車券を見せろと目の前に立ったのが
腕に刺青の女検札員。 「あんたは検札機にかざしていないじゃないか」「かざしましたよ」
「そのようにはなっていない。」と無賃乗車を決めつけ追求します。「そこの機械にかざしたのだが」
に「それは故障している。他の機械を試みるべきだ。何故そうしない。」この時点では検札員6人に取り囲
まれていました。「次が下車地なのですが」と告げたら全員が一緒に降りて道路傍でまた取り囲まれます。
あたかも人を殺めて捕縛されたときのようなものものしさ。

これが家内に起きた今年最悪の事件でした。検札機に故障と書いてあったわけでもなく。ピッと検札機が
音を立てることを毎日のようにトラムを利用する人間ならば先刻知っているでしょうが、たまさか乗車
した人間がそこまで知っているはずもありません。「変だな」と心で思っただけが間違いでした。
検札機の管理に瑕疵があることは微塵も意に介することなく、女性の乗客を男5人と刺青倶利伽羅紋々女
ひとりの検札員が、これをよく読めと、これからどうなるか反論があるなら法廷へと記した小さなパンフレット
を手渡し「3週間ほどで通知書が行くから」と言い残して漸く放免に。
そして 3か月後(3週間ではなく)に、まさかの $217の罰金の通知書が付いた次第でありました。

これを聴いた豪州人の友人は、酷い話だと怒り、詳しい話を聴かせてくれ当局宛に手紙を書こうと云った
翌日電話をくれ「一晩考えたけど、長い物には巻かれろだ、払っておいたら¨¨」との 落ちでありました。

豪州にも、どこぞの国に負けず劣らず病膏肓のきらいがあるようです。合掌。